CHI2007レポートリンク

行けなかったCHI2007
うーん残念で終わらずに、言ったきた人のレポートを集める。

◎れきもと(CSL)さんのレポート
・1日目

あまり面白いのに出会えなかった。Microsoft Researchの"SenseCamによって本当に記憶は補助されるのか?" (Do Life-Logging Technologies Support Memory for the Past?) に期待していたのだが、一応記憶はエンハンスされるという結論だが色々留保がついていてあまりすっきりしない。そもそも何をもって記憶の補助とするのか、というところでコンセンサスが取れていないのではないか。キーワードとしての"Second Brain"には魅力を感じる。第二脳と現状の技術のギャップをちゃんと掘り下げてみる必要があると思った。

http://d.hatena.ne.jp/rkmt/20070501/1178013370

・2日目

"Jogging at a Distance" これは個人的趣味 :-P 。
ジョギングは友達どうしで走ると楽しいが、なかなか都合がつかないし、ペースが合わないとフラストレーションがたまる。というので携帯電話で遠隔の人と会話しながら走ったり、nike+ipodを使って速度を検出して、遠隔の相手を追い越したり追い越されたりを3D音響で表現したり、というシステム。

タンジブル研究全般に言えるのだが、トータルなお話としては非常にビジョンを感じるが、個々のシステムに落とし込んでいくと現状の技術レベルとのミスマッチを感じてしまって、「これって別にGUIでやっても・やったほうがいいんじゃ」みたいなところがある。とくにテーブルトップ系は。

http://d.hatena.ne.jp/rkmt/20070502/1178096076

・3日目

"Power of the Few vs. Wisdom of the Crowd: Wikipedia and the Rise of the Bourgeoisie" は、一般的に集合知の典型例とされるWikipediaで、実際にどういう構造でコントリビューションがなされているのかという分析。
Wikipediaは貢献者数を増やし続けて急激に拡大しているコミュニティだが、その規模に関わらず常に1%の上位ユーザが50%の編集を行っているという構造は変化していないという発見である。wisdom of crowdsがきちんとpower lawに乗っているのが、現実のWikipediaによって示されたというのは驚くべきことではないだろうか。

http://d.hatena.ne.jp/rkmt/20070503/1178199479

・4日目

Arduinoはセンサーなどを含むシステムのハードウェアプロトタイピングが簡単にできるようなツールキット。Processingなどでプログラムできる。Phidget等との違いがよくわかっていないが、最近注目されているらしい。KAISTの教授に教えてもらったがKAISTのデザインコースでも教育に使っているとのこと。要チェック。

http://d.hatena.ne.jp/rkmt/20070504/1178281212

◎中原(東京大学)さんのレポート
・そのマシン、ユーザビリティの検証、本当にやりました?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2007/05/post_864.html

・CHI2007レポートのつづき

この研究のRQ(Research Question)は、「どのように検索結果を表示すれば、ユーザーが利用しやすくなるのか」ということ。これをアイトラッキングシステムを利用して明らかにしたのですね。

 センサーなどを付属した物理オブジェクトをインプットデバイスとして、コンピュータにワイアレスで接続し、コンピューテーションの結果をフィードバックとしてユーザにかえす研究が多いと思った。

http://www.nakahara-lab.net/blog/2007/05/chi2007.html

◎高田さん(産総研
・Paper: Sharing motion information with close family and friends

 Motion Presenseアプリケーションの提案.携帯電話の電話帳のようにユーザ名がリストとして表示されているのだが、各ユーザの横にそれぞれの「移動状況」を表示できるようしたというもの.親しい間柄でのプレゼンス情報共有を目指したものである.これを10人のユーザで二週間にわたりユーザ評価を行った.その結果、移動状況から場所や行動の推測などが可能であったことがわかった.またプライバシーの懸念を示す人もいたが、このアプリケーションの利用後にはそれほど気にしなかったという結果を得た.

http://www.netaro.info/~zetaka/burogu/archives/000129.html

・Paper: Grow and Know: Understanding Record-Keeping Needs for Tracking the Development of Young Children

 5才までの子供の成長と学習はそれ以降の人生に大きく影響する.定期的に小児科医にかかり、子供の成長経過を詳細に記録することは、知恵遅れや障害の早期発見に役立つ.しかし、新人の親は新たなに生じる責任に圧倒されそれどころではない.そこで技術がそれを支援できないかと考えた.この論文では、親と子供を世話する人たちによる成長記録とその解析を支援するための要件を調査した.インタビューを通じて、親が持っている根拠に関する仮定を確認するとともに、記録継続のための技術要件を調べた.

http://www.netaro.info/~zetaka/burogu/archives/000128.html

・Paper: Protecting people from Phishing: The Design and Evaluation of an Embedded Training Email System

 Phishing対策として、ユーザ教育をするための"Embedded Traning"システムの設計とその評価に関する論文である.
対象となるユーザに対し、Phishingメールを投げ込み、実際にPhishingされた場合に、「画像と文字」と「漫画調」の2つの方法でユーザに「このメールはこういう仕組みでPhishing mailだから、こういうのにはひっかかってはいけませんよ」と教示するシステムである.またユーザによる実験結果から、embedded training systemの設計原則を導く

http://www.netaro.info/~zetaka/burogu/archives/000126.html

・Paper: Pictures at the ATM: Exploring the usability of multiple graphical passwords

 複数の暗証番号を覚えるのと、複数の画像パスワードを覚えるののどちらが実現可能性が高いかを調査した.また画像パスワードの記憶を強化する二つの戦略について調査した.その結果、複数の暗証番号を覚えるよりも、複数の画像パスワードを覚える方が実現性が高いことがわかった.

http://www.netaro.info/~zetaka/burogu/archives/000125.html

・Paper: Password Sharing: Implications for Security Design Based on Social Practice

 現実問題として、パスワードや暗証番号は共有されている.それをふまえた上で、銀行のセキュリティシステムに対するあらたな設計基準(要件)を提案する.という論文.
オーストラリアでの社会学的調査を基にしている.USER-CENTERED Securityの提案でもある

http://www.netaro.info/~zetaka/burogu/archives/000124.html

◎リッチメディア情報
・CHI2007関連の動画
http://www.youtube.com/results?search_query=chi2007

・CHI2007関連のスライド
http://www.slideshare.net/tag/chi-2007

・CHI2007関連の写真
http://www.flickr.com/photos/tags/chi2007/